企業版ふるさと納税の解説をポッドキャストでお聴きいただけます。
女性の音声
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男性の音声
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以下は原稿です。
企業版ふるさと納税・愛川町の挑戦
1. イントロダクション本日は、「企業版ふるさと納税」についてお話しします。これまでいくつかご質問をいただいていましたので、内容を整理しながら「愛川町にとって何が重要なのか」を深掘りしていきましょう。
2. 制度の基本と愛川町の立ち位置まず、企業版ふるさと納税とは何か。一言で言えば、企業が自治体の取り組む事業に対して寄付を行い、その見返りとして税の軽減を受ける制度です。
ここで絶対に押さえておくべきルールが一つあります。それは、「寄付をする企業は、その自治体に本社がないこと」という条件です。例えば、ここ愛川町に本社がある企業さんは、愛川町に対して企業版ふるさと納税を行うことはできません。あくまで「外の地域」に拠点がある企業さんが対象となります。
つまりこの制度は、単なる寄付集めではなく「外からの関心や資金を町に呼び込む仕組み」である、という性格を持っています。
3. 個人版との決定的な違い次に、皆さんも馴染みがある「個人のふるさと納税」との違いです。個人の場合は、寄付をすると豪華な返礼品がもらえますよね。そのため、実質的には「お買い物」や「消費」に近い側面があり、自治体は返礼品の魅力で競争しています。
一方、企業版では返礼品は「禁止」されています。企業が得るのは、最大で寄付額の約9割にもなる税制上の優遇と、社会に貢献しているという評価です。
つまり企業は、モノではなく「この事業に価値があるか」「この自治体と関わる意味があるか」という、いわば「投資」のような視点で判断します。ここが制度の本質です。
4. 「不交付団体」愛川町の大きなメリットここで、お金の動きに関する非常に重要な話をします。実は愛川町にとって、この制度は他の多くの自治体よりも大きなメリットがあります。
多くの自治体は、国から「地方交付税」という仕送りを受け取っている「交付団体」です。この場合、企業版ふるさと納税で寄付を受けても、その分、翌年度の仕送りが減らされてしまう仕組みになっています。せっかく寄付をいただいても、純粋な財源増にはなりにくい構造なんです。
ところが、愛川町は国からの仕送りに頼らず自立している「不交付団体」です。不交付団体の場合、寄付を受けても翌年度に予算が減らされることがありません。つまり、いただいた寄付が「そのまま100%、町の新しい活動資金として活用できる」のです。これは愛川町にとって、非常に強力な武器になります。
5. 求められるのは「営業力」ではなく「設計力」ただし、ここで注意が必要です。お金が増えるからといって、「寄付額を増やすこと」だけを目的にしてしまうと、本質を見失います。
企業は返礼品を求めていません。単にお願いしたから寄付してくれるわけでもありません。企業が見ているのは、その事業の社会的意義、将来性、そして自社との関係性です。
つまり、自治体に求められるのは「お願いして回る営業力」ではなく、事業を組み立てる「設計力」です。「どのような課題を解決するのか」「どのような価値を地域にもたらすのか」これらを明確に示すことができて初めて、企業は動きます。
6. 結び:町民の幸せと企業の貢献の両立愛川町の場合、町内企業は対象外ですから、外の企業に向けて「この町と一緒に未来を作りたい」と思わせる理由づくりが不可欠です。子どもたちの教育や、社会課題の解決など、具体的でワクワクする事業を提示できるかが問われています。
そして最後にもう一つ。それは、「町民の皆さんにとって意味があるか」という視点です。いくら企業にとって魅力的でも、町民の皆さんの暮らしに価値がなければ長続きしません。逆に、町民にとって本当に必要な事業であれば、それは企業にとっても「応援する価値のある事業」になります。
この「町民の幸せ」と「企業の貢献」の両立。これこそが、愛川町が企業版ふるさと納税を通じて目指すべき姿です。