2026/6/16
兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
「肺炎球菌ワクチンが新しくなった」ということが、同僚議員の一般質問でも取り上げられていました。

でも、そもそもなんでワクチンが必要なのか、いったい肺炎球菌って何なのか。それを知らない人がほとんどだと思います。
これを読めば肺炎球菌について、少し詳しくなれるかも…。
■ 肺炎球菌
電子顕微鏡で見ますと、なんだかピーナッツのような形ですね。

引用:肺炎球菌[Streptococcus pneumoniae]MSDマニュアル プロフェッショナル版
引用:肺炎球菌感染症とワクチン
この菌は、ヒトの上気道、特に鼻咽頭・上咽頭の粘膜に色々な菌とともに潜んでいます。
肺ではありません。これが本質になります。
菌は、他人に感染したいので、咳やくしゃみなどを通じて住処を広げていきます。人間側も上気道にいる分には、それほど拒絶することもなく受け入れています。
しかし、肺にきたら生命に関わるので免疫を動かして排除モードになります。これが「炎症」で、肺で起こるので「肺炎」なのです。
■ 莢膜(きょうまく)
読めませんよね…うそ?読めました?訓読みだと、「さや」です。豆を包む「さや」ですね。
肺炎球菌は莢膜を持っており、これがとても重要な役割を持っています。

細菌が分泌したゲル状の粘質物が、細胞表面にほぼ均一な厚さで層をつくっています。

本来、白血球やマクロファージが細菌を取り込んで分解するのですが、なんと莢膜があるとそれを回避できるのです。そして莢膜の成分自体が細胞を傷つけるような毒性も持っています。
■ どうやって倒すの…
莢膜なんて持ってたら無敵やん…。
ですが人間の体も負けていません。肺炎球菌の莢膜に対する「抗体」をつくり、それをもって白血球やマクロファージが食べやすい状況をつくるのです(オプソニン化)。

ここで抗体が出てきました。つまり、「ワクチン」の話につながります。
肺炎球菌と名前が似ている肺炎桿菌ですが、つぎのような画像がリアルなものです。

引用:細菌の莢膜
■ 肺炎球菌の治療
肺炎球菌は、市中肺炎(病院外で日常生活を営んでいた人に発症した肺炎)でよく見られる菌です。つまり、特殊な病気ではありません。

治療薬は抗菌薬であり、第1選択は「ペニシリン系」です。

高用量となっているのは、耐性菌のせいですね。
過去では、少量でも効果がありました。

次からワクチンのお話に関わります。
■ 莢膜には種類がある
莢膜は、ゲル状。このゲルをつくっているのは、「多糖類」です。
これが1種類じゃないのです。菌によって糖の並び方や種類が異なり、つまり 型 が存在するのです。なんと約100種類もあります。
これを「血清型」とも表現します。
血清型とは、肺炎球菌がまとっている莢膜の“型違い”のことです。昔は、それぞれの莢膜に反応する抗血清を使って分類していたため、「血清型」とも呼ばれています。

前述したように、莢膜に抗体がくっつかなければ白血球が食べられないわけですね。
だからこそ、複数種に対応したワクチンが必要なのです。○○価のワクチンと言います。
これは、○○種類の型に対して抗体をつくる能力があるぞ!という意味になります。
■ 肺炎球菌ワクチン
【ニューモバックス®:PPSV23】
メルク社(米)が開発した23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV)です。
前述した100種あるうちの23種類が含まれています。
開発当時では、菌血症を伴う肺炎球菌疾患の約88%をカバーできたということです。
日本で1988年に承認され、現在まで65歳以上のB類定期接種に用いられています。
こちらのワクチンは、昨年度までで終了しました。
ちなみに肺炎球菌をStreptococcus pneumoniaeと言います。pneumoniae(肺炎)のニューモニアとワクチン(vaccine)を掛け合わせて「Pneumovax」となりました。
【プレべナー®:PCV20】
ファイザー社(米)が開発した沈降20価炎球菌結合型ワクチン(PCV)です。
2026年4月からはニューモバックスに代わり、こちらが使用されます。
この「結合型」とは、何と結合しているねんという話ですね。
これは免疫誘導を起こしやすくするタンパクを結合させているのです。「沈降」は、ワクチン抗原をリン酸アルミニウムに吸着させているのです。アルミニウムは免疫を誘導させる「アジュバント」と言います(リンク)。
私も研究室でモルモットにアレルギーを起こさせるために「アジュバント」を使っていましたね。つまり、ニューモバックスに比べると免疫がより強く誘導されるということですね。

【キャップバックス®:PCV21】
ニューモバックスの後釜とも呼べる沈降21価炎球菌結合型ワクチン(PCV21)です。
2025年8月に承認され、同年10月29日から自己負担によって接種が可能となりました。
プレベナー20とは異なり、定期接種には採用されていないため補助金は出ません。
なお、キャップバックスとプレベナーに採用されている莢膜型は異なります。
・プレベナーは小児・高齢者に共通している
・キャップバックスは高齢者・重症化予防に特化している
このような特徴があります。
【小児ワクチン】
小児ではプレベナー7(PCV7)が2013年4月に定期接種化されました。
小児は免疫獲得が難しいため、結合型ワクチンにして、アジュバントにより免疫を刺激させています。
2013年11月からプレベナー13(PCV13)に切り替えられました。
10年以上使用され、2023年には、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(バクニュバンス®:PCV15)が国内で製造販売承認され、2024年4月から定期接種で使用可能となりました。
同年10月からはプレベナー13(PCV20)が使用できるようになりました(PCV13は販売中止)。
そう!プレベナー20は、赤ちゃんにも高齢者にも使われるようになったのです…。
■ 川西市の場合
川西市でもホームページ上で費用が書かれていました(リンク)。

補助付きで接種できるのは65歳限定です。
65歳を超える方を対象とした経過措置は2024年3月31日に終了しています。
安全性につきましては、mRNA型でもありませんし、特筆すべきものはないと思います。
ここからは私見になりますが、肺炎球菌は、もともと人間の上気道にて共存しています。だとすれば、子どもが保菌し、それに大人が曝露されることで、自然な免疫刺激が繰り返されてきたのではないでしょうか。
一方で、小児ワクチンの接種によって、ワクチン対象血清型の保菌や伝播は減少します。これは重症化予防という面では大きな意義がありますが、免疫獲得のあり方、そして血清型が合わない時の反応性、これらを考えると、人と細菌の自然な関係性が崩れてしまいそうです。
もはや抗菌薬の耐性菌などが生まれている以上、自然な関係性は許容できないのかもしれませんが。ワクチンは単に「免疫を上げるもの」ではなく、人と細菌の関係に介入するものでもあります。すなわち免疫トレーニングの機会を奪っているとも考えると、大丈夫なのかなと不安に感じてしまいますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
ご意見・ご感想はこちらまで↓
[email protected]
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
各種SNSもフォローをよろしくお願いします。
X(旧Twitter)
Facebook
インスタグラム
LINEオープンチャット(ニックネームで参加可能)
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>長田 たくや (ナガタ タクヤ)>【肺炎球菌ワクチン】ニューモバックスからプレベナー20へ。そもそも肺炎球菌って何?