2026/5/7
【宇野千代が愛した「岩国のいがもち」】
宇野千代が生まれ育った岩国市には、素朴でやさしい味わいの郷土菓子「いがもち」があります。
いがもちは、やわらかな餅の上に色とりどりの米粒(しんこ)をまぶした和菓子です。
その見た目が栗の「いが(毬)」に似ていることから名付けられました。中には上品な甘さのあんが入り、祝い事や節句などでも親しまれてきた、土地の暮らしに根ざしたお菓子です。
【18歳のとき、「逃げるようにしてこの地を離れ※」た宇野千代】
宇野千代は18歳のとき、「逃げるようにして」岩国を離れました。
当時、家族や周囲の意向によって結婚が決められていましたが、彼女はそうした生き方に強い違和感を抱いていました。
地方のしがらみや、あらかじめ定められた人生の枠に収まることをよしとせず、自分の意思で自由に生きたい―その思いが、岩国を後にする理由であったことは、作品からもうかがい知ることができます。
そこから数えて、およそ111年。
一世紀以上の時を経た今もなお、地方では似た構図が続いています。とりわけ若い女性が地元を離れざるを得ない状況が続き、「地方から女性の流出が止まらない」という現実は、あらためて見過ごせない問題として問題定義されています。
地方では進学や就職の選択肢が限られ、より多くの可能性を求めて人、とりわけ女性は中心へ、都市へと向かっていきます。
もし「ここでは自分らしく生きにくい」という感覚が、形を変えながら今も残り続けているのだとすれば、それは個人の選択というより、社会の構造に関わる課題。
宇野千代の時代には「しがらみ」や「結婚」というかたちで現れていた女性に対する制約は、現代では「機会の格差」や「環境の偏り」として存在している――そう考えることもできるでしょう。
やさしい甘さの「いがもち」…その味わいの奥に、いまの私たちへの問いがそっと潜んでいるように、私には感じられるのです。
※岩国市観光振興課「宇野千代―岩国の旅―」より
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