2026/7/17
こんにちは。関市議会議員の北村隆幸です。 専門は、中間支援センターにて、市民活動や地域づくり、自治会等のコミュニティ支援をしています。
まちを歩いていて、こんな“置き去り”を見たことはありませんか。
長良川鉄道・関駅に、ぽつんと置きっぱなしにされた黒い箱。あれ、市外の業者がコワーキングスペースとして設置されたものです。事業撤退して使われないまま、ただそこにある。私はあれを見るたびに、なんとも言えない虚しさを感じます。
令和7年12月の関市議会で、私はこの「民間委託のあり方」を取り上げました。少し地味なテーマですが、私たちの税金の使い方と、まちの“考える力”に直結する、とても大事な話です。
先に、いちばん伝えたいことを書きます。
民間に仕事を頼むこと自体は、悪いことではありません。専門知識やマンパワーを借りるのは賢いやり方です。
でも私は、こう考えています。
計画づくりの「作業」は外注してもいい。けれど、まちの未来を「考えること」まで外注してはいけない。丸投げ型から、人材投資型へ。
なぜそう考えるのか。まずは、私がずっと引っかかっている“あの光景たち”の話から始めます。
法律違反というわけではありません。でも、市外の業者への委託が、少し安易に行われていないか。成果が出なくても、企業の都合で、責任を取らずに去っていく。そんなケースが目につくのです。
たとえば、関市の公共施設予約システム「せきとるねっと」。1,600万円をかけてシステムを構築し、令和4年から使い始めました。ところが5年も経たないうちに、企業の事業撤退で使えなくなってしまう。そして今年度(令和7年度)、また1,300万円の予算をとって新たなシステムを構築しはじめました。
冒頭の、関駅の黒い箱もそうです。ご当地映画「名もなき池」をめぐる話も、私の中では同じ問題意識でつながっています。
もし、地元に根を張って商売をしている企業だったら、こんな無責任なことはできないはずなんです。まちの人の顔が見えているから。次も会うから。「やりっぱなし」ができない。ここに、外注の落とし穴があると私は思っています。
この“やりっぱなし”の構造は、実は市の計画づくりにも忍び込んでいます。
答弁で明らかになった数字がこちらです。過去3年間(令和4〜6年度)にパブリックコメントを行った16の計画のうち、コンサルタントに策定業務を委託したのは14件。全体の88%です。しかも、委託先はすべて市外業者。16件の委託料総額は6,566万円、1件あたり平均419万円でした。
昨年度(令和6年度)、健康福祉部が作った4つの計画(地域福祉計画、こどもまんなか計画、自殺対策計画、健康せき21計画)だけでも、委託料の総額は約1,671万円にのぼります。
もちろん、専門性が本当に必要な計画もあります。人手が足りない中で外部の力を借りる判断も理解できます。でも、まちの将来を描く計画の9割近くを外の会社に頼り、そのお金が市外へ出ていく。この事実は、一度立ち止まって考える価値があると思うのです。
「でも、計画づくりには専門性が必要でしょう?」——そう思いますよね。私も答弁で、コンサルが実際に担っている業務の中身を確認しました。主にこの5つです。
一つ、アンケート調査の集計と分析。二つ、審議会の開催支援。三つ、冊子のデザインなどの制作。四つ、上位計画との整合性チェック。五つ、先進事例などの情報提供。
これを一つずつ見ていくと、こう思えてくるのです。
集計はアルバイトでもできる。分析は市の企画情報課で、あるいは本当に高度な部分だけ専門家に。審議会の資料づくりは会計年度任用職員の力で。冊子のデザインは、そもそも“そんなにきれいなレイアウト、必要ですか?”という話でもある。上位計画との整合や他市事例は、庁内で調べたり、県や国に問い合わせれば足りる。
つまり、コンサル業務の多くは「時間の切り売り」の部分であって、そこに特別な専門性は必要ないのではないか。もちろん、職員の負担軽減はとても大切です。だからこそ、その負担を“市外への丸投げ”ではない形で軽くする工夫が要るのです。
そして市自身も、私の質問に対して正直に答えてくれました。「委託内容の中には、庁内連携や職員体制の補強で自前でできる業務もある。今後は委託内容を精査し、コンサルへの依存度を下げられるよう心がける」。前向きな一歩だと受け止めています。
私がこだわる理由は、お金のことだけではありません。
「地方自治は民主主義の学校」という有名な言葉があります。計画づくりを市民と一緒に考えること、それ自体が、まちの自治を育てるのです。そして、自分たちで悩んで手を動かした計画には“魂”が宿り、作った人が本気で実行します。外注して納品された計画は、棚に並んで終わりになりがちです。
だから私は、こう提案しました。コンサルへの委託は原則として調査に限る。そして浮いたお金を、職員の研修費や、話し合いを上手に進める「ファシリテーター」を雇う費用にあてる。市民と一緒に考えながら、職員自身が計画をつくる。
さらに、もう一歩踏み込んだ提案もしました。企画情報課に、計画策定やアンケート調査を支援する“内部コンサルタント”のような人材を増員してはどうか。最初は「地域活性化起業人」の制度でまかなうこともできます。アンケート入力のような手間のかかる作業は、子育て中の方や在宅ワークの方、会計年度任用職員にお願いすればいい。
外にお金を出して終わりにするのではなく、まちの中に“考える力”と“仕事”を残す。これが、人材投資型への転換です。市も「市民の参画(パブリックインボルブメント)は重要で、職員がその手法を学ぶことは必要」と答えてくれました。実際、デジタル推進室の「データダッシュボード」では、統計の収集・分析を業者に頼らず職員自身が担い始めています。まさに、この方向の実践例です。
計画づくりに加えて、私はお金の“払い方”そのものにも意見があります。
いまの多くの委託は、仕事をお願いした時点で金額が決まります。成果が出ても出なくても、同じ額を払う。だからこそ「やりっぱなし」が起きる。
そこで注目したいのが、成果連動型支払方式(PFSやSIB)です。民間が成果目標の達成に責任を持ち、成果が出たときにだけ行政がお金を払う仕組みです。うまくいけば、税金のムダを減らし、民間の本気を引き出せます。
「関市でそんなことできるの?」と思うかもしれませんが、実は実績があります。令和2年度から4年間、「ライザップ」の健康増進プログラムを、PFSの手法で実施していました。
もちろん課題もあります。成果を客観的に測る“ものさし”づくりが難しいこと。ものさしを間違えると、数字合わせに走って事業の目的がゆがむこと。市もそのリスクを認識したうえで、「メリット・デメリットを十分理解し、他の事業にも展開できないか研究したい」と答えました。
指標づくりの良いお手本も、答弁で出ています。昨年度のSNS移住プロモーションでは、「ランディングページへの誘導数」「市公式サイトへの誘導数」を数値目標に設定し、結果はそれぞれ目標の1.8倍、4倍。きちんと指標を決めれば、成果は見える化できるのです。できるものから、どんどん取り入れてほしいと思っています。
関市の計画の88%がコンサル頼み。総額6,566万円。そのほとんどが市外へ。そして、使われなくなったシステムや、置き去りの黒い箱。
くり返しますが、外注が悪いのではありません。問題は、「考えること」や「まちを描くこと」まで手放していないか。そして、そのお金を、まちの“考える力”を育てることに回せているか、ということです。
計画は、納品物ではありません。市民と職員が一緒に悩んでつくり、みんなで実行していく“約束”です。 そして、お金は「頼んだから払う」から、「成果が出たから払う」へ。
丸投げ型から、人材投資型へ。 関市の民間委託を、もう一段かしこくアップデートしていく。これからも提案を続けます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事は、令和7年第4回関市議会定例会(令和7年12月)での一般質問「民間委託のあり方について」をもとに、北村隆幸が書き起こしたものです。金額等の数値は市の答弁に基づいています。
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