2026/7/30
7月30日、健康福祉委員会視察2日目として、福岡市の「認知症フレンドリーセンター」を視察しました。

認知症と聞くと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか。
「不安」「なるのが怖い」「家族に迷惑をかけてしまう」など、ネガティブな印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
もちろん、認知症予防はとても大切です。
しかし、今回の視察で学んだのは、「認知症にならないこと」だけではなく、「認知症になっても希望を持って暮らせる社会をつくること」の大切さでした。
「認知症になっても大丈夫」と思える社会を目指して
福岡市では、国が認知症基本法を施行する以前の2018年から「認知症フレンドリーシティプロジェクト」をスタートさせています。
目指しているのは、「認知症の人を支援するまち」ではなく、「認知症になっても住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち」です。
今回の視察で最も印象に残ったのは、「認知症の人を支援の対象として見るのではなく、一人の市民として活躍できる社会をつくる」という考え方でした。
認知症は特別な人だけのものではありません。
加齢は誰にでも起こるもので、高齢者の約7人に1人が認知症になると推計されています。
だからこそ、「認知症になったら終わり」ではなく、「認知症になっても希望を持って暮らせる社会」をつくることが重要だという考え方に、大きな共感を覚えました。
ユマニチュードがまち全体に広がっている
福岡市を代表する取り組みの一つが、「ユマニチュード」です。
ユマニチュードとは、フランスで生まれた認知症ケアのコミュニケーション技法で、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つを通して、「あなたを大切に思っています」という気持ちを伝えるケアです。
印象的だったのは、この考え方が介護や医療の現場だけでなく、市民向け講座や、小学4年生・中学1年生の学校教育にも取り入れられていることでした。
子どもの頃から相手を尊重する関わり方を学ぶことで、認知症になっても安心して暮らせる地域を育てています。
その積み重ねにより、市民のおよそ4割がユマニチュードを知っているという調査結果もあるそうです。
行政だけでなく、市民全体で認知症への理解を広げようとしている姿勢が伝わってきました。
「支援」から「活躍」へ
福岡市では、「支援」だけで終わらせません。
認知症のある方の声を聞きながら企業が商品開発を行ったり、認知症のある方が報酬を受け取りながら働く「オレンジ人材バンク」を運営したりするなど、認知症になっても社会とつながり、役割を持ち続けられる仕組みづくりが進められています。

(紐が結べなくても使用できるエプロン)

(認知症の人でも操作が分かりやすく安全なガスコンロ)

また、高齢者だけでなく、若年性認知症への支援にも力を入れていました。
令和6年度には若年性認知症支援コーディネーターを配置し、仕事や子育てなど、それぞれのライフステージに合わせた相談支援を実施しています。
「認知症=高齢者」という固定観念にとらわれず、一人ひとりの暮らしを支える視点がとても印象的でした。
認知症の方の見え方を体験
認知症フレンドリーセンターでは、認知症の方の見え方をARで体験することができました。

普段は何気なく歩いている床のマットが穴のように見えたり、色の違いが分かりにくかったり、距離感がつかめなかったり、視野が狭く感じたり…。
実際に体験したことで、「どうしてこんな行動をするのだろう」ではなく、「そう見えているから困っているのかもしれない」という視点に変わりました。
また、市営地下鉄や公共施設では、色のコントラストやピクトグラム、サインの高さなどを工夫した認知症フレンドリーデザインが導入されていました。


これは認知症の方だけでなく、子どもや初めて訪れる方にも分かりやすく、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインにつながっていると感じました。
板橋区でも「認知症になっても大丈夫」と思えるまちへ
今回の視察を通して、「認知症予防」と同じくらい、「認知症になっても希望を持って暮らせる社会」をつくることの大切さを学びました。
認知症になっても、その人らしく暮らし、役割を持ち、地域とつながり続けられること。
そのためには、制度だけではなく、市民の理解や地域のつながり、そして本人の声を大切にする仕組みが欠かせません。
板橋区でも、認知症になってもその人らしく暮らし、役割や希望を持ち続けられる地域づくりを進められるよう、今回学んだことを今後の政策提案につなげていきたいと思います。
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オオノ ユカ/40歳/女
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