2026/7/25
7月24日の建設委員会では、帯広市が策定を進めている「立地適正化計画」について質問し、今後の計画づくりに向けた政策提言を行いました。
「立地適正化計画」という名称は、市民の方にとって少し分かりにくいものかもしれません。しかし、これは将来の帯広で、どの地域に住居や生活サービスを維持し、医療、福祉、商業、公共交通などをどのようにつないでいくのかを示す、非常に重要な計画です。
人口減少や高齢化が進む中、住宅や店舗、病院などが市街地全体に広く分散した状態が続くと、将来的に公共交通や道路、上下水道、生活に必要なサービスを維持することが難しくなる可能性があります。
そこで、住宅や医療、福祉、商業などの機能を一定の地域に緩やかに誘導し、それぞれの地域を公共交通で結ぶ「コンパクト・プラス・ネットワーク」という考え方が示されています。立地適正化計画は、この考え方を具体化する制度として設けられたものです。
計画では、市街化区域の中に、将来にわたって住居を維持しやすい「居住誘導区域」と、医療、福祉、商業などの生活に必要な施設を誘導する「都市機能誘導区域」を設定します。
ただし、区域外に住めなくなるわけでも、住宅や施設が強制的に移転させられるわけでもありません。短期間でまちを集約するのではなく、住宅の新築や建て替え、施設の更新などを通じて、20年以上かけて緩やかにまちの形を変えていく計画です。
帯広市では令和9年度から令和21年度までの13年間を計画期間とし、おおむね5年ごとに施策の実施状況を調査、分析、評価する予定です。
どこを居住誘導区域とするのか、どこを都市機能誘導区域とするのかによって、将来の住宅建設、民間投資、公共施設の配置、公共交通、道路や上下水道の整備などに影響を与える可能性があります。
一方で、誘導区域の内側と外側で行政サービスに差が生じるのではないか、区域外の地価や資産価値が下がるのではないか、郊外地域が切り捨てられるのではないかという不安も想定されます。
市の資料では、立地適正化計画は一極集中や強制的な集約を目指すものではなく、郊外部についても地域の特性に応じた居住環境を確保すると説明されています。
だからこそ、計画の理念だけではなく、実際の区域設定や施策の内容を議会で確認し、市民生活への影響を丁寧に検証する必要があります。
今回の基本方針案では、中心拠点、地域拠点、生活拠点の周辺、公共交通の利便性が高い地域、将来的にも一定の人口密度が維持される地域などを踏まえて、誘導区域を検討する考えが示されています。
また、防災・減災の視点から、浸水想定区域の浸水深や避難の実効性なども考慮するとしています。
私は委員会で、拠点、公共交通、人口密度、防災という複数の要素について、どのような優先順位と判断基準で区域を設定するのか質問しました。
市からは、特定の要素に優先順位を設けるのではなく、それぞれを総合的に勘案して区域設定を進めるとの答弁がありました。
総合的に判断することは必要ですが、判断過程が曖昧になってはいけません。市民や事業者が納得できるよう、区域設定の根拠を可能な限り数値や資料で示すことが重要です。
私は一人の医療従事者として、医療、福祉、子育て施設の利便性をどのように確保するのか重要と考えます。
高齢化が進む中では、病院や診療所に通えること、介護や福祉サービスを利用できることが、地域で暮らし続けるための前提となります。また、子育て世帯にとっても、保育施設や子育て支援施設へのアクセスは、居住地を選ぶ大きな判断材料です。
市か、これらの施設について関係課の施策と整合を図り、利便性の維持・確保に努める考えです。
都市政策部門だけで計画をつくるのではなく、医療、介護、福祉、子育て、教育などの部門と連携し、「市民が生活する上で本当に必要な機能」を区域設定に反映する必要があります。
立地適正化計画は、住宅や施設を一定の地域に誘導するだけでは成り立ちません。それぞれの拠点をつなぐ公共交通が必要です。
しかし現実には、バス運転手の不足や利用者の減少により、路線の減便や見直しが課題となっています。
市は、基幹的な公共交通軸について、拠点を結ぶ都市の骨格として重要であり、バス事業者と連携して維持に努めると答弁しました。
ただ、計画にバス路線を位置づけるだけでは十分ではありません。運転手確保への支援、路線バスとデマンド交通の役割分担、医療機関や商業施設との連携など、実効性のある交通政策と一体で進める必要があります。
居住誘導区域の外に住んでいる方にとっては、「今後、道路や上下水道の維持水準が下がるのではないか」という不安があります。
この点について市は、立地適正化計画を策定したことで区域外のインフラ維持水準が変わるものではなく、道路や上下水道は各分野の計画に基づき維持すると答弁しました。また、区域外の生活環境が損なわれないよう、必要な維持管理を行う考えも示されました。
この答弁は重要です。今後も、区域外だから行政サービスを一律に縮小するという考え方にならないよう、継続して確認していきます。
最後に政策提言として、計画の成果を検証するための具体的な目標値や成果指標を設定するよう求めました。
立地適正化計画は20年以上を見据えた長期的な計画です。すぐに結果が出るものではありませんが、長期計画だからこそ、途中経過を検証する仕組みが必要です。
例えば、公共交通沿線の人口、生活サービス施設へのアクセス、市民の移動手段、空き家の状況、誘導区域内外の地価、道路や上下水道の維持費などを継続的に確認しなければ、計画が市民生活の向上につながっているのか判断できません。
私は、目標値を設定し、定期的な評価に加えて、可能な範囲で毎年度の進捗も市民に分かりやすく公表すべきだと考えています。委員会でも、適宜効果を検証するために成果指標等の目標値を設定する必要があると意見を述べました。
立地適正化計画は、まちを小さくするための計画ではありません。
人口が減少しても、市民が医療、福祉、買い物、子育て支援、公共交通などのサービスを受けながら、安心して暮らし続けられる帯広をつくるための計画です。
今後、具体的な誘導区域や施策が示されます。区域を設定すること自体を目的とせず、市民の暮らしが本当に便利になったのか、将来世代の負担軽減につながるのかという視点から、引き続き議会で議論してまいります。
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