2026/5/17
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
日本代表をWBC世界一へと導いた栗山英樹監督。その采配や言葉の根底には、常に一冊の古典がありました。幕末の天才、橋本左内が15歳の時に自分を律するために記した『啓発録』です。その冒頭に掲げられた「稚心を去る(ちしんをさる)」という言葉は、現代を生きる私たちにとっても、真の自立を問う重い響きを持っています。
橋本左内は、わずか15歳にして己の未熟さを痛感し、成長を妨げる最大の敵を「稚心(幼い心)」であると定義しました。これは、単なる子供っぽさではなく、人間が誰しも抱える「内なる弱さ」を指しています。
客観的な事実として、左内はこの『啓発録』において、自分を磨くための五つの誓いを立てました。その出発点こそが、稚心を去ることなのです。
| 啓発録の五則 | その意味と教え |
|---|---|
| 稚心を去る | 親や周囲への甘え、怠惰な心、目先の遊びを優先するわがままを捨てること。 |
| 立志 | 自分が成すべき事、進むべき道を定め、心の芯を確立すること。 |
| 択友 | 互いに切磋琢磨し、悪いところを指摘し合える真の友を選ぶこと。 |
| 振気 | 困難に直面しても、決して怯まず自らを奮い立たせる気力を持つこと。 |
| 習読 | 書を読み、先人に学び、知識を自分の血肉として実践に活かすこと。 |
栗山監督は、選手に対して技術的な指導をする以上に、一人の人間としての「あり方」を重視します。プロの野球人である前に、自らの意志で立ち、全責任を背負える大人であれという教えです。
「稚心を去る」とは、「誰かが何とかしてくれる」という依存心を捨て、結果を環境や他人のせいにしないことです。栗山監督自身、大きな決断を下す局面では、常に自分の中に「楽をしたい」「自分を良く見せたい」という稚心が潜んでいないかを厳しく問い続けてきました。
この自己規律こそが、逆境においてもブレない信念を作り、周囲からの信頼を集める源泉となっているのです。
何か新しい挑戦をしようとする時、あるいは大きな責任を負う時、私たちは過去の成功体験や現状の居心地の良さに執着しがちです。しかし、橋本左内が説いたように、古い皮(稚心)を脱ぎ捨てなければ、新しい自分に出会うことはできません。
「稚心を去る」ことは、一度きりの決意ではなく、生涯を通じて続く自分との戦いです。成功した時ほど謙虚になり、失敗した時ほど自らの甘えを省みる。その繰り返しが、人間としての深みを作ります。
栗山監督が世界一という頂点を極めてなお、学び続ける姿勢を崩さないのは、常に自分の中に去るべき「稚心」を見つけ出し、自分をゼロにリセットし続けているからではないでしょうか。
私たちも、自分の中にある「甘え」や「依存」に気づき、それを潔く手放した時、本当の意味で志を立てる準備が整うのかもしれません。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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