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【会派視察報告-前編】佐賀県伊万里市民図書館 ― 「市直営+市民参画型」の現場を訪ねて

2026/7/10

令和8年5月8日~9日の2日間、会派で山口県下関市と佐賀県伊万里市の2つの図書館を視察してきました。


下関市立中央図書館の報告は別記事にまとめますので、本稿と次稿の2回に分けて、2日目に伺った 伊万里市民図書館 の視察内容をご報告します。

https://www.library.city.imari.saga.jp/


倉敷市では現在、新中央図書館の整備に向けた議論が進んでいます。運営形態を「市直営」とするか「指定管理者制度」とするかは、全国の自治体でも常に論点となるテーマです。伊万里市民図書館は、民営化や指定管理者制度に最初から距離を置き、直営+市民参画型の運営で成功を収めていると全国的に評価されている図書館。今回はその「成功の中身」を、自分の目で確かめに行ってまいりました。


本稿は、視察で配布された資料をAIにより編集し、現地で伺った内容と、視察後の私自身の所感を加えて再構成しています。前編(本稿)では、まず現地で見聞きした「事実」の部分をご紹介し、私自身の所感と倉敷市への示唆は、後編にまとめます。


【視察概要】
・日時:令和8年5月9日(土)9時30分~11時30分
・視察先:佐賀県伊万里市 伊万里市民図書館
 

――――――――――――――――――

1.なぜ伊万里市民図書館を視察先に選んだのか

全国的に、公共図書館の運営を民間事業者に委ねる「指定管理者制度」の導入は着実に広がっています。効率化・利便性向上といったメリットが語られる一方、司書の専門性や長期的な蔵書構築の観点から慎重論も根強くあります。


そんな中、伊万里市民図書館は、
・民営化や指定管理者制度から最初から距離を置き、「市直営」を貫いていること
・単なる直営ではなく、「市民参画型」の運営で運営そのものに市民が入り込んでいること
・その結果、地域に根差した図書館として、視察が絶えない存在となっていること

という点で、他の図書館とは一線を画す存在です。


「なぜ直営で成功しているのか」「市民参画とは具体的に何をどこまでやっているのか」――倉敷市の今後の図書館運営を考える上で、外せない事例だと判断し、視察先に選定しました。

尚今回は、倉敷市議会の4会派合同での視察です。

 

2.市民参画の仕組み ―「図書館フレンズいまり」の存在

同館の運営を語るうえで欠かせないのが、「図書館フレンズいまり」 の存在です。


図書館フレンズいまりは、伊万里市民図書館を応援・支援する市民ボランティア組織で、単なる「お手伝い団体」にとどまらず、図書館の企画・事業運営そのものに深く関わるのが特徴です。


・読み聞かせや講座などのイベント企画・運営
・書架整理や蔵書メンテナンスへの参加
・地域の歴史・文化資料の掘り起こしと共有
・図書館と市民をつなぐ「橋渡し役」としての活動


今回の視察には、そのフレンズいまりの役員の方々、そして伊万里市議会議員の盛泰子先生(同館の生みの親のお一人として全国的に知られる方)が同席してくださり、行政・議会・市民ボランティアの三者から生の声を伺うことができました。


印象的だったのは、皆さまが口を揃えて仰った、


「図書館は行政のものではなく、市民のもの」

という一言です。単なるスローガンではなく、実際の企画会議や意思決定の現場に市民が入り、館長・司書と対等に議論している実態が伝わってきました。

3.直営で運営される「意味」 ― 司書育成という時間軸

同館の運営で強調されていたもう一つのポイントが、司書の育成です。


指定管理者制度の場合、事業者との契約は数年単位で更新されるのが通例で、雇用にも自ずと期限が生じます。一方、直営方式であれば、雇用に期限が設けられず、長い時間軸で司書を育てることができる

・地域の歴史や産業に精通した司書
・利用者一人ひとりの関心を覚えている司書
・「あの本ならあの棚の三段目」と即答できる司書

こうした「顔の見える専門性」は、一朝一夕では育ちません。長期雇用を前提とした直営だからこそ蓄積できる無形資産である、というのが同館の主張と感じ、一理あると感じました。


 

4.市民の知的好奇心を引き出す「レファレンス」

同館では、単に「本を貸す」のではなく、「利用者の問い」に司書が併走するレファレンス機能を非常に大切にされています。

・調べものの入り口を一緒に整理する
・関連書籍・関連資料を横断的に提示する
・場合によっては市民活動や地域団体につなぐ

このプロセスを通じて、利用者の知的好奇心そのものを刺激し、次の学びや活動へと誘う ―― これが「伊万里流」の図書館サービスの根幹でした。


利用者の側も、単なる「本の貸出先」としてではなく、「相談できる場所」「一緒に考えてくれる場所」として図書館を使いこなしている印象を強く受けました。


 

次回予告 ― 後編は「所感編」です

ここまで、伊万里市民図書館の運営の特色を、市民参画・直営・司書育成・レファレンスという4つの切り口でご紹介しました。


確かに、同館の運営には目を見張るものがあります。ただ一方で、これをそのまま倉敷市に当てはめてよいのか、「直営だから成功したのか」「民間には本当に無理なのか」――視察を終えて、私の中にはいくつかの問いが残りました。


次稿【後編】では、


・平成7年に投じられた23億円という初期投資の意味
・「民間=商業主義」と切り捨ててよいのか
・ネット時代における司書機能の再定義
・令和4年市民アンケートで利用率26%という倉敷市の現状をどう捉えるか


といった論点について、私自身の所感を率直にご報告いたします。


(後編に続きます)


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あしだ 泰宏

あしだ 泰宏

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