2026/7/13
令和2年3月定例会では、デジタル化宣言、ユニバーサル書体、双葉保育所への侵入路安全対策、中小零細企業支援について一般質問を行いました。
この時期は、新型コロナウイルス感染症の影響が広がり始めた頃でもありました。 行政、学校、保育、地域経済が止まるかもしれない。 そうした不安が現実になり始めていた時期です。
今振り返ると、この一般質問で問うていたのは、個別の制度や施設だけではありません。
「暮らしと事業を止めないために、行政の仕組みをどう整えるのか」
この一点だったように思います。
それぞれの質問は別々のテーマに見えます。 しかし、根っこにある問題意識は共通しています。
不便を減らすこと。
伝わりにくさを減らすこと。
危険を減らすこと。
事業者が止まらないようにすること。
つまり、暮らしや仕事の中にある「小さな詰まり」を見つけて、仕組みとして整えていくことです。
まず取り上げたのが、デジタル化宣言についてです。
当時の行政手続きは、まだ紙、印鑑、窓口、対面を前提にしたものが多くありました。 もちろん、住民票等のコンビニ交付など、一部ではデジタル化も進んでいました。
しかし、市民生活や事業者の現場から見れば、まだまだ手続きは分かりにくく、時間もかかり、負担も大きい状態でした。
そこで、東温市としてもデジタルファースト宣言を行い、行政手続きや市民サービス、自治体運営、交流人口向けの情報発信、中小零細企業支援などを、もっとデジタル化していくべきではないかと提案しました。
特に印象に残っているのは、コロナの影響が広がり始めていた中で、消防出初め式、学校の授業、議会なども、ウェブ中継やオンラインの仕組みを使えば、すべてを止めずに済むのではないかと問題提起したことです。
今ではオンライン会議やリモート対応は珍しくありません。 しかし、当時はまだ、行政の現場で本格的に進めるには大きな意識転換が必要な時期でした。
次に取り上げたのが、ユニバーサル書体です。
これは一見すると、細かい話に見えるかもしれません。 しかし、行政が発信する情報は、市民に伝わって初めて意味があります。
高齢者、子ども、視覚過敏のある人、読み書きに苦手さを持つ人にとって、文字の見え方や読みやすさはとても大切です。
例えば、数字の6と8が見分けにくい。 明朝体の細い線や飾りが読みにくい。 文字がにじんで見える。 画面や紙の白さがまぶしく、文字を追うだけで疲れてしまう。
こうした人にとって、書体は単なるデザインではありません。 情報にたどり着けるかどうかに関わる問題です。
そこで、学校現場、市のホームページ、広報、掲示物、書類などにおいて、必要なところからユニバーサルデザインフォント、いわゆるUDフォントを使っていくべきではないかと提案しました。
三つ目は、双葉保育所への侵入路安全対策です。
双葉保育所の周辺は、住宅と道路が入り組んでおり、通り抜けができない構造になっています。 そのため、送迎時には保護者の車が集中し、折り返しや離合が発生します。
さらに、地域住民の車やごみ収集車も重なることで、子どもたちの安全、保護者の安心、地域住民の生活動線に不安が生じていました。
ここで問うたのは、道路を大きく広げることだけではありません。
現場で毎日起きている危険を、時間帯の調整、誘導、表示、ルールづくりで少しでも減らせないか。
そういう視点でした。
最後に取り上げたのが、中小零細企業支援です。
令和2年3月の時点で、すでに新型コロナウイルスの影響により、売上が止まる事業者が出始めていました。 私自身も、仕事のキャンセルが相次ぎ、新規売上が入らない状態を経験していました。
このまま長期化すれば、中小零細企業に大きなダメージが出る。 地域経済そのものが傷む。 そうした危機感がありました。
そこで、市として特に力を入れるべき中小零細企業支援、新規創業支援、第二創業、そして中小零細企業支援と税収増・財源増との関係について質問しました。
中小零細企業は、地域の雇用を支え、消費を支え、まちの活力を支えています。 だからこそ、事業者を支援することは、単なる事業者支援ではなく、地域全体を守ることにつながります。
答弁では、すでにいくつかのデジタル化が進んでいることが示されました。
行政の中でも、業務効率化や市民サービス向上に向けた取り組みは進んでいました。
一方で、デジタルファースト宣言そのものについては、対面業務の重要性や国全体の制度設計との関係もあり、慎重に検討するという答弁でした。
ユニバーサル書体については、学校現場での教科書採用が進んでいることが示されました。
令和2年度から使用する小学校の教科用図書では、13教科中10教科がUDフォントを使用したものになるとの答弁がありました。
また、学校に配備されているパソコンもWindows10への更新により、UDフォントを使用できる環境が整いつつあるとのことでした。
市のホームページについても、リニューアルに合わせてメイリオを基本書体とし、広報や公文書でもUDフォントの活用を検討していくとの答弁がありました。
掲示物や看板についても、市役所内部で作るものはUDフォントの使用を検討し、印刷業者に依頼するものについても対応を考えるという答弁でした。
双葉保育所の安全対策については、保育所として、保育士による送迎時の誘導や、保護者への送迎時間調整のお願い、出庫までの時間短縮の周知などが行われていました。
道路整備については、周辺に住宅が密集しているため、拡幅や新設による改善は難しいとの答弁でした。 そのため、路面標示や標識設置などによる注意喚起を検討するとのことでした。
特に具体的な改善として大きかったのは、ごみ収集時間の変更です。
双葉保育所付近では、朝8時半頃にごみ収集が行われており、送迎の多い8時15分頃から9時頃と重なっていました。 これについて、委託業者と調整し、3月から当該箇所の収集時間を9時以降に変更するとの答弁がありました。
これは、現場の声が具体的な改善につながった例だと思います。
中小零細企業支援については、東温市内に1,200を超える中小零細企業があり、現状把握調査をもとに支援策を講じているとの答弁がありました。
特に要望が多かった支援として、次のようなものが挙げられました。
また、新規創業支援については、松山圏域2市3町で創業支援事業計画を策定し、経済団体、金融機関、NPO法人などと連携して支援体制を整えているとのことでした。
第二創業や多角経営についても、意欲ある事業者を関係機関につなぎ、国や県とも連携しながら支援していくとの答弁がありました。
そして、中小零細企業が元気になることは、雇用や地域経済の活性化だけでなく、税収アップにもつながり、市民生活の質の向上にもつながるという考え方も示されました。
今後の課題は、デジタル化を単なるシステム導入で終わらせないことです。
システムがあるだけでは、市民は使えません。 分かりやすく案内され、使いやすく設計され、必要な人に届いて初めて意味があります。
特に高齢者、子育て世帯、事業者、障がいのある方、地域活動を担う方など、それぞれの立場に合わせた使いやすさが必要です。
デジタル化の目的は、行政をかっこよく見せることではありません。
市民の手間を減らすこと。
事業者の時間を生み出すこと。
職員の負担を減らすこと。
いざという時にも行政サービスを止めないこと。
この視点を忘れてはいけないと思います。
UDフォントの活用は、単なるデザインの話ではありません。
行政の文章や掲示物は、多くの市民にとって必要な情報です。 だからこそ、見やすさ、読みやすさ、分かりやすさを整えることは、市民サービスそのものです。
書体だけでなく、文字の大きさ、行間、色の使い方、図解、見出し、文章の短さなども含めて、行政情報の伝え方を見直していく必要があります。
双葉保育所のように、送迎、生活道路、ごみ収集、地域住民の動線が重なる場所は、他にもあるはずです。
道路を広げることが難しくても、できることはあります。
大きな工事だけが安全対策ではありません。 現場の声を聞き、実際に危険が起きている時間帯や場所を見ながら、できる改善を積み重ねていくことが大切です。
コロナのような危機の中では、まず事業を守る支援が必要です。 資金繰り、雇用維持、相談窓口、情報提供など、目の前の不安を減らす支援は欠かせません。
しかし、それだけでは不十分です。
危機の後には、事業を立て直す支援、販路を広げる支援、デジタル化を進める支援、第二創業や事業転換を後押しする支援が必要になります。
つまり、止まった事業を責めるのではなく、もう一度動ける状態に整えることです。
これは、私が今大切にしている考え方にもつながっています。
止まっているのは、能力ではなく、順番かもしれません。
事業者も、地域も、行政も、現在地を確認し、必要なものを整理し、次に進む順番を整えることで、もう一度動き出せる可能性があります。
令和2年3月定例会の一般質問は、今振り返ると、コロナ禍の入り口で行った質問でした。
当時はまだ、これほど社会全体が大きく変わるとは見えていなかった部分もあります。 しかし、行政のデジタル化、情報の読みやすさ、保育所周辺の安全、中小零細企業支援というテーマは、今もなお重要です。
むしろ、今だからこそ、よりはっきり見えてきたことがあります。
まちは、気合いだけでは動きません。
暮らしは、お願いだけでは整いません。
事業者は、自己責任だけでは守れません。
必要なのは、現場で起きている不便や不安を見つけ、仕組みとして整えることです。
行政手続きが分かりやすい。
情報が読みやすい。
子どもの送迎が安全にできる。
事業者が困った時に相談できる。
次の一歩に進む支援がある。
こうした一つ一つの積み重ねが、暮らしやすいまちをつくっていくのだと思います。
令和2年3月定例会では、次の4つをテーマに質問しました。
これらはすべて、別々のようでいて、共通する考え方があります。
暮らしと事業を止めないために、仕組みを整える。
この視点は、これからのまちづくりにも必要です。
便利なところは、もっと便利に。
危ないところは、もっと安全に。
読みにくいものは、もっと伝わりやすく。
困っている事業者には、次に進める支援を。
これからも、現場の声をもとに、暮らしと地域経済を整える提案を続けていきます。
自分で未来を100%選べる社会へ。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>束村 はるき (ツカムラ ハルキ)>令和2年3月定例会を振り返る|暮らしと事業を止めない仕組みづくり