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「地域経済の振興/小規模事業者の振興」を振り返る|平成29年12月定例会

2026/6/11

地域経済は、制度だけでは動かない。

平成29年12月定例会で、私は「地域経済の振興」と「小規模事業者の振興」について一般質問を行いました。

当時の問題意識は、単に「補助金を増やしてほしい」というものではありませんでした。 東温市の経済の形が変わりつつある中で、働く場所、地域の事業者、支援制度、そして行政の関わり方をどう整えていくのか。 そこを問う質問でした。

今回の振り返りでは、次の三つの視点で整理します。

  • 当時、何を問題定義したのか
  • それに対して、何が整ってきたのか
  • 今後さらに、何を整えなければならないのか

1. 当時、何を問題定義したのか

東温市は「住むまち」から「働きに来るまち」へ変わりつつあった

当時、私がまず注目したのは、東温市が単なるベッドタウンではなく、 市外から多くの人が働きに来る「ワーキングタウン」へ変わりつつあるのではないか、という点でした。

朝夕の交通量を見ていても、市外から東温市内の事業所エリアへ向かう車の流れが多く感じられました。 また、医療・福祉分野で働く人の割合が高いことから、 東温市は医療・福祉産業を強みとするまちではないか、という問題提起をしました。

つまり、当時の問題定義はこうです。

東温市は、ただ住むまちではなく、働きに来るまちへ変わりつつある。
その流れを、地域経済の循環や移住・定住につなげられているのか。 

支援制度はある。けれど、現場まで届いているのか

もう一つの大きな問題提起は、小規模事業者への支援についてです。

小規模事業者は、地域経済を支えるだけではありません。 地域の雇用を守り、消防団、PTA、自治会、地域行事、防災活動などにも関わりながら、 地域そのものを支えている存在です。

しかし、当時の調査では、東温市中小零細企業振興基本条例について、 多くの事業者が十分に知らない状況も見えていました。

支援制度や補助金制度があっても、事業者が知らなければ使えません。 また、平日の営業時間中に市役所へ相談に行くことが難しい事業者もいます。

そこで私は、こう問いかけました。

支援を必要としている事業者に対して、行政や支援機関の側から現場へ出向く仕組みが必要ではないか。 


2. それに対して、何が整ってきたのか

地域経済を支える土台は、すでに整えられ始めていた

当時の答弁では、東温市中小零細企業振興基本条例に基づき、 地域経済の振興に取り組んでいることが示されました。

特に大きかったのは、地域経済を活性化させる原動力を中小零細企業と位置づけ、 行政、事業者、経済団体、学校、金融機関、市民が連携して支えるという考え方です。

これは、地域の中で生まれた商品やサービスを地域の人が使い、 お金が地域の中で回っていく「地域内経済循環」を重視する考え方でした。

つまり、当時の段階で、東温市には地域経済を整えるための基本的な考え方がありました。

働く場所づくり、企業誘致、創業支援も進められていた

答弁では、働く場所をつくる取り組みとして、工業団地の造成、スマートインターチェンジの整備、 企業誘致、創業支援、空き店舗活用、横河原駅前の活性化などが挙げられていました。

また、女性の起業支援、セミナー、マルシェ、農林業の情報発信、集落営農、 自伐型林業の研修など、幅広い分野で支援策が進められていました。

この点は、振り返ると大事な部分です。

東温市では、当時すでに「働く場所をつくる」「起業を支える」「地域資源を活用する」という方向性が整えられ始めていた。 

小規模事業者への支援制度も用意されていた

小規模事業者への支援についても、当時の答弁では、さまざまな制度が紹介されました。

  • とうおんブランドづくり推進事業費補助金
  • 販路拡大への補助制度
  • 中小企業振興資金融資制度
  • 信用保証料や利子への補助
  • 逆商談会や販路拡大支援
  • 商工会と連携した経営改善支援
  • 地域資源を活用した商品開発支援

制度そのものは、決して何もなかったわけではありません。 むしろ、かなり多様な支援策が用意されていました。

ただし、ここで重要なのは、

制度があることと、制度が現場で使われていることは別問題である。 

という点です。


3. 今後さらに、何を整えなければならないのか

これから必要なのは「制度を使える状態」にすること

この一般質問から約9年が経ちました。 当時から、地域経済を支える制度や考え方は少しずつ整えられてきました。

しかし、今後さらに必要になるのは、制度を「用意すること」だけではありません。

必要なのは、支援制度を必要な人に届け、実際に使える状態にすることです。

補助金、融資制度、創業支援、販路拡大支援、専門家相談。 こうした制度があっても、事業者が知らなければ使えません。 知っていても、自分に合う制度が分からなければ動けません。 分かっていても、申請書類や事業計画で止まってしまうこともあります。

だからこそ、これから整えるべき課題はここにあります。

支援制度を整える段階から、事業者が制度を使える状態に整える段階へ進むこと。 

事業者の現在地を確認する仕組みが必要

小規模事業者にとって、本当に必要なのは、 「補助金があります」という情報だけではありません。

自分の事業はいま、どの段階にいるのか。
売上を伸ばす段階なのか。
経費を見直す段階なのか。
販路を広げる段階なのか。
人手不足への対応が必要なのか。
事業承継を考える時期なのか。
それとも、いったん立ち止まって整理する段階なのか。

この「現在地」が分からないままでは、どの支援制度を使えばよいのかも分かりません。

地域経済をさらに整えるためには、事業者一人ひとりの現在地を確認し、 必要な相談先、支援制度、専門家、次の一手につなぐ仕組みが必要です。

行政、商工会、金融機関、専門家、現場をつなぐこと

当時の答弁でも、行政だけでなく、商工会、金融機関、関係団体と連携しながら 支援制度を周知していくという考え方が示されていました。

この方向性は、今後さらに重要になると感じます。

地域経済は、行政だけでは動きません。 商工会だけでも、金融機関だけでも、専門家だけでも動きません。

大切なのは、それぞれの役割をつなぐことです。

制度をつくる人。
制度を伝える人。
相談を受ける人。
書類を整える人。
現場の悩みを聞く人。
次の一歩に並走する人。 

この役割分担が整ってこそ、小規模事業者は動きやすくなります。


4. 今回の振り返りで見えたこと

平成29年12月の一般質問を振り返ると、当時の問題意識は、今にもつながっていると感じます。

地域経済を支えているのは、大きな企業だけではありません。 地域の小さなお店、家族経営の事業所、職人、農林業者、若手経営者、現場で働く人たちです。

そして、その人たちは、地域の暮らしそのものを支えています。

だからこそ、地域経済の振興とは、単に企業を誘致することだけではありません。 補助金を用意することだけでもありません。

地域で働く人たちが、自分の現在地を知り、必要な支援につながり、次の一歩を踏み出せる状態をつくること。 

これが、これからさらに整えていくべき地域経済の課題だと考えています。


5. 制度と現場をつなぐことが、これからの地域経済を整える

この質問をした当時、私は東温市議会議員として、地域経済と小規模事業者支援について問題提起をしました。

今、改めて振り返ると、その根っこにあったのは、 「制度はあるのに、現場が動けない状態をどう整えるのか」という問いだったように思います。

これは、今のはるきReboot事務所の考え方にもつながっています。

情報を増やすだけでは、人も事業も動けません。
制度を並べるだけでは、現場は前に進めません。
必要なのは、現在地を確認し、使えるものを整理し、次の一歩が見える状態にすることです。

地域経済は、制度だけでは動かない。

制度と現場をつなぐこと。
支援と事業者をつなぐこと。
働く場所と暮らしをつなぐこと。

そこを整えていくことが、これからの地域経済に必要な視点だと考えています。

これからも、過去の一般質問を振り返りながら、 当時の問題提起、整ってきたこと、そして今後さらに整えるべき課題を確認していきます。

暮らしを整える。地域を整える。未来を選べる状態へ。

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著者

束村 はるき

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