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田中 よしひと ブログ

覚醒剤密輸が不起訴とニセコのマネロンから見えた共通点

2026/6/9

覚醒剤の密輸と、ニセコの不動産。まるで別の世界に見えるが・・・

日本の法と国境に空いた穴を、事実から一緒に確かめていきます。

 

覚醒剤215キロ。末端価格114億円。3人逮捕で2人不起訴の実態

今年1月から3月、UAE――アラブ首長国連邦から、海上コンテナで覚醒剤およそ215キロが密輸されました。末端価格114億348万円相当。覚醒剤は綿の塊に混ぜて隠され、神戸港で陸揚げされたところを税関検査で発見されました。
愛知県警などは3月12日、覚醒剤取締法違反、営利目的輸入の疑いで3人を逮捕。英国籍のモハメッド・アベド容疑者50歳は、報道で密輸グループの上位者とされる人物。あとの2人はネパール国籍で、豊川市に住む会社役員37歳と、派遣社員32歳。この2人は荷受けと保管の役割だったとみられています。
6月2日、名古屋地検はネパール国籍の2人を不起訴とし、英国籍の男だけを麻薬特例法違反で起訴しました。理由は「公判で適正な判決が得られるかという観点から、収集した証拠の内容を慎重に判断した」。
114億円の密輸で、実際に荷を受け取り保管していた2人が、起訴すらされない。なぜか。

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役割を細分化して、法の網目をつく犯罪の国際化が最近増えている

その鍵は、二つの法律の違いです。

 

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法を厳しくしても、運用が難しく抜け穴となっている実態がある
 

不起訴から見る逆説

二つの法律が分かると、逆説が見えます。
起訴されたのは組織の「上位者」とされる英国人。
それも認識のハードルが低い麻薬特例法で、ようやくです。
一方、不起訴は、実際に荷を受け取り保管していた2人。
普通の感覚なら実行役こそ重いはずなのに、起訴すらされなかった。
荷を受け取り保管しただけでは、中身を知っていた証拠が法廷で勝てるだけ固められなかった体と推測します。
これは「無実が証明された」のではありません。
「日本の捜査と立証が、組織の手口に追いつけなかった」ということです。水際では見つけた。けれど、誰がどういう意思で動かしたかを法廷で立証しきる力が、足りていないという事です。
法の建て付けが、グローバル化に対応しきれていないと言う事例です。
しかし、そうした事例はこれだけではありません。
 

ニセコエリアに流入したマネー

マカオに、アルビン・チャウという人物がいます。
マカオ最大のジャンケット、VIP送客業者だったサンシティ・グループの創業者でありCEO。
2021年11月に逮捕されました。

そのチャウの裁判。マカオの一審は2023年1月、詐欺・犯罪組織の主導・違法賭博など280以上の罪で有罪とし、懲役18年を言い渡しました。
ただし――マネーロンダリングについては、一審では無罪。

ところが控訴審、第二審で覆り、2023年10月、チャウと元財務責任者は加重マネーロンダリングで有罪とされ、賠償額は約255億香港ドルに引き上げられました。
2024年に終審裁判所も18年を支持し、確定しました。

つまり、マネロンの罪は一審で無罪、控訴審で覆って有罪で確定したのです。
このチャウが資金を出して、ニセコエリアの倶知安町に約20ヘクタールの高級リゾートを計画していました。
2021年のことです。ところが本人が失脚し、後継のLETグループは2023年5月にニセコ事業からの撤退を発表。
22ヘクタールの用地を売却する契約を結んだものの――買主が残金を払えず、契約は不成立。
手付金は没収され、土地は今も手元に残ったままです。
一度は売ろうとして、流れました。
現在、そこの土地では大規模開発が行われていますが、実質的な支配者が誰なのか、知る事はかなり困難です。
 

オーストラリアでも

チャウのサンシティは、オーストラリアのクラウン・リゾーツのカジノにも、専用のVIPルームを持っていました。
そのクラウンを、豪州の独立した調査と規制当局が、こう認定しています。
ベルジン調査、そしてフィンケルスタイン王立委員会。
いずれも、クラウンがマネーロンダリングを助長し、組織犯罪と関係する業者と提携していたと認定し、カジノ免許の保有は「不適格」と断じました。

さらに連邦の資金情報機関AUSTRACは、クラウンにマネロン対策法違反で4億5000万豪ドルの制裁金を科し、クラウンはこれを認めました。
そのサンシティのVIPルームでは、内部告発の映像に札束が積まれている様子が映り、約2300万豪ドルの現金が絡む、少なくとも75件の不審事案、560万豪ドルの現金が見つかっています。
豪州の*『60 Minutes』が2019年に告発し、香港ジョッキークラブの流出文書は、チャウが大規模なマネロンに関与し、14K(三合会)とつながりがあると豪警察に伝えていた、と報じられています。

整理しますと、チャウ個人のマネロン有罪は、マカオの「刑事」。
クラウン社のマネロン助長と4.5億豪ドルは、豪州の「行政・規制」。
別々の事案です。
両者をつなぐ糸はサンシティのVIPルームで、二つの国でマネーロンダリングとして認定された。と言う事実です。

*60minutesでの特集は2019年に、

オーストラリアのテレビ番組 「60 Minutes Australia」

新聞 The Sydney Morning Herald

新聞 The Age

の3社による共同調査報道として放送されました。
内容は、マカオ最大級のジャンケット(カジノVIP仲介業者)だった Suncity Group と、その創業者である Alvin Chau が、オーストラリアのカジノ事業者との関係やマネーロンダリング、組織犯罪との関連を持っていた可能性を追及するものでした。

日本のマネロンに対する法体系は?

「では法律がないのか」と言えば、違います。
マネロンには、薬物以上に分厚い体系がある。
しかも出発点は、麻薬特例法と同じ根っこです。

国際的には、1988年のウィーン条約がマネロンを初めて犯罪化し、1989年にFATFという国際機関が「40の勧告」という共通基準を作り、2000年のパレルモ条約が前提犯罪を薬物から重大犯罪全般へ広げました。
国内では、1992年の麻薬特例法に始まり、2000年の組織的犯罪処罰法、2008年の犯罪収益移転防止法――金融機関や不動産業者などに本人確認と疑わしい取引の届出を義務づける法律です――
そして2021年の対日審査を受けて2022年に厳格化された。
条約も国内法も三段重ね。日本はFATF加盟国でもある。それでも殆ど機能していないと言うのが、私の実感です。
足りないのは法ではなく、毅然とした法の運用と、当局の本気度です。

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カジノを含むIRの推進をしているが、大丈夫なのだろうか・・・
 

世界は日本をどう見ているのか

国際機関FATFの日本に対する評価を見てみましょう。
FATFの第4次対日相互審査が2021年に公表されています。

日本は合格水準に届かず、「重点フォローアップ国」と評価されました。
各項目でG7に見劣りする、と明記されています。

そしてFATFが優先課題とした弱点が二つ。
ひとつは「法人等の悪用防止」
もうひとつは「マネーロンダリングの捜査・訴追」
もうお分かりでしょう。
今回の二つの話――豊川市の「会社」、ニセコエリアの「日本法人」という器の問題と、覚醒剤事件で立件できなかった捜査・立証の弱さ、資金洗浄していた個人・法人から資金流入を許している実態、さらに言えば倶知安町巽地区のような多くの法律を犯していても罰則もかけられない罰則の実効力と自治体の弱さ――
その急所と、ぴったり一致しているのです。

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FATFの評価と会社法の抜け穴


まとめ

最後に申し上げます。
この話は「外国人が悪い」と言う話ではありません。
インバウンドのお客様、実体経済を担って来てくださる方々は歓迎すべきです。
しかし日本にラストリゾートとして入国し、甘い法律を利用し、起訴もされない司法の弱さを利用しに来る犯罪者、組織には毅然と対応すべきです。

外国資本を日本に呼び込む「投資経済」、「対日直接投資残高」を2030年度まに120兆円、というそれら目的達成のために、国内が乱れるのであれば本末転倒です。

問題の発端はゆるい会社法を作り入口を開け、登記事務変更で日本国内に責任者不在の「外資の呼び込み」を推進させている法律が悪いと私は思います。
責任者不在の事業者をコントロールが出来ないまま放置してきたのは、私たち日本人自身の不作為です。温床にしたのは、私たち自身なのです。

追記
倶知安・ニセコへの示唆

政治・行政の観点で重要なのは、

資金の出所を自治体が十分把握できない

外国法人の背後の実質支配者が見えにくい

土地取得時にマネーロンダリング対策の審査が極めて限定的

開発後に問題が発覚しても行政が介入しづらい 

という制度上の問題です。

私は数年前より、オーストラリアの Foreign Investment Review Board(FIRB)のような外国資本審査制度や、土地取得時の実質所有者確認制度を日本でも強化すべきだと訴えていますが、今がその時だと思います。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。
ここで新たな氣付きや、政治がいかに重要か知って頂ければ幸いです。

注)ニセコに流入した資金がマネーロンダリングで洗浄された資金と確定されたものではありませんので、最後に申し添えさせて頂きます。

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著者

田中 よしひと

田中 よしひと

選挙 第27回参議院議員選挙 2025年 (2025/07/20)
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北海道選挙区 325,070 票

肩書 北海道を守る会 会長
党派・会派 無所属
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