さとう しゅういち ブログ
広島市でも災害復旧工事で虚偽公文書疑惑──県の“悪い前例”を繰り返さないために必要なのは、第三...
2026/6/10
広島市でも災害復旧工事で虚偽公文書疑惑──県の“悪い前例”を繰り返さないために必要なのは、第三者による徹底調査だ
広島県で発覚した災害復旧工事に関する虚偽公文書作成問題は、国からの補助金返還命令という最悪の結末を迎えた。
「組織的な不正はない」と否定し続けた県の初動が、結果として信頼を大きく損ない、行政全体のガバナンスに深刻な傷を残したことは記憶に新しい。
その直後、今度は 広島市でも災害復旧工事をめぐる虚偽公文書作成疑惑が報道され始めている。
市は早々に「虚偽作成の事実はない」と否定したが、住民側からは「説明が腑に落ちない」「現場の実態と違う」との声が上がっている。
ここで問題なのは、事実関係そのもの以上に、行政の初動が県と酷似していることだ。
■ 県の“悪い前例”が示したもの
広島県のケースでは、
当初は「不正はない」と強く否定
しかし調査が進むにつれ、虚偽文書作成が慣行化していたことが判明
最終的に国が補助金返還命令を出すという異例の事態に発展
という流れをたどった。
つまり、「まず否定」→「後から発覚」→「信頼失墜」 という最悪のパターンだ。
この前例がある以上、広島市が同じように「問題なし」と早々に言い切ることは、
行政への信頼という観点から極めて危うい。
■ なぜ“早々の否定”が危険なのか
● ① 住民からは「自己保身」に見える
事実確認よりも先に否定が出ると、
「調べる前から結論ありきなのでは」
という疑念が生まれる。
行政にとって最も大切な資源は“信頼”だ。
一度失われると、取り戻すには何倍もの時間と労力が必要になる。
● ② 県と同じルートをたどるリスク
県の事案が全国ニュースになった直後である以上、
市が同じような否定をすれば、
「また広島か」という印象を全国に与えかねない。
● ③ 現場職員を守るどころか追い詰める
もし慣行的な問題があった場合、
組織防衛のための否定は、
後から現場職員を“スケープゴート”にする構造を生む。
守るべきは「慣行」ではなく、
真面目に働く職員と納税者だ。
■ 広島市が取るべきは「第三者による徹底調査」
私は、広島市が県の失敗を反面教師とするなら、
第三者委員会方式の徹底調査を選ぶべきだと考える。
● ① 自己調査では信頼が回復しない段階に来ている
県の事案が示したように、
「内部で確認したが問題なし」では、
もはや市民の信頼は得られない。
● ② 政治的距離を確保した調査体制が必要
理想的には、
弁護士
公認会計士
土木・建設の技術者
行政学の専門家
などで構成された独立性の高い委員会が望ましい。
委員の選任プロセスも公開し、
「市長部局の意向で人選した」と見えないようにすることが重要だ。
● ③ 調査範囲は“個別案件”にとどめない
災害復旧工事の契約・検査・出来高管理
補助金申請の文書作成プロセス
県の事案との共通点・相違点
まで含めて調べることで、
初めて「再発防止策」が実効性を持つ。
■ 市が今こそ示すべき姿勢
広島市が本当に信頼を取り戻したいなら、
次のようなメッセージを出すべきだ。
「現時点で把握している範囲では虚偽作成の事実は確認されていない。
しかし県の事案の重大性を踏まえ、市としても同様の問題がないか、
第三者を交え徹底的に検証する。」
この姿勢こそが、
行政の透明性と誠実さを示す唯一の道だ。
■ 終わりに
広島県の虚偽文書問題は、
「否定から入る行政」がどれほど大きな代償を払うかを示した。
広島市が同じ轍を踏む必要はない。
むしろ、県の失敗を踏まえて
“広島の行政は変わった” と全国に示すチャンスでもある。
そのために必要なのは、
第三者による徹底調査という、
行政にとっては厳しくとも、
市民にとっては最も誠実な選択だ。
※本稿の事実関係は、最新の公的資料・報道でご確認ください。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男