2025/8/16
“密室の選挙劇”から見える、ホントの人間模様~映画『教皇選挙-CONCLAVE-』を観て~【坂本まさしの選挙をもっと身近に!Vol.58】
家族に勧められて、映画『教皇選挙 - CONCLAVE -』を観た。
物語は終始、静謐な空気のなかで展開していく。派手な事件やサスペンスはないが、重厚な儀式の裏側で着々と“その時”に向かう緊張感がただよっていて、むしろリアルな臨場感を感じた。

ただ、有力な候補者たちのバックグラウンドや内面には、もう少し踏み込んだ描写がほしかった。なぜこの人物が教皇に選ばれたくないのか、なぜ周囲が推すのか——その理由や動機がもう一段深く明らかになれば、各人の一票に込められた重みもより感じられただろう。しかし実際は、ごく限られた背景説明しかなく、多くの場合「見た目」や「立ち居振る舞い」からしか人物を測れない。クライマックスへの展開は予想しやすくなってしまったのが少し残念だった。
脱落していく候補者についても、その理由づけは淡泊で、もっとドラマ性があると思っていた身には物足りなさもあった。
とはいえ、その静けさや淡々と進む現実こそが、『教皇選挙 - CONCLAVE -』——閉ざされた選挙のリアルなのだと思う。選ばれし者たちだけによる意思決定という構図。その中で噂や駆け引き、派閥と利害と人間関係が渦巻くが、最終的には「ふさわしい」とされる誰かが静かに選ばれる。その過程こそ映画の核心かもしれない。

こうした“選ばれし者たちだけによる閉鎖的な選挙”という構図は、何も教皇選挙だけに限らない。日本の議院内閣制や自民党の総裁選も、本質的に「民意を受けた代議士たちの間で代表が選ばれる密室の構造」がある。これは私たちの身近な組織や、時に家庭でも見られる人間模様の縮図だと思う。
実は私自身も、この数ヶ月の中で似たような“選び・選ばれる”プロセスを体験した。噂や風評が飛び交い、時に部外者が利害のために画策し、足を引っ張ろうとする。本当に嘆かわしい——しかしそれもまた人の性なのだろう。
ここで、聖書の一節を思い出さずにいられなかった。
“But I tell you, do not resist an evil person. If anyone slaps you on the right cheek, turn to them the other cheek also.”
(Matthew 5:39, NIV)
私はこの言葉を、「ただ理不尽を受け入れろ」という消極的な意味ではなく、争いや憎しみに対して非暴力で応じること、ひいてはそれが本当の強さであるという教えとして捉えている。長くミッションスクールで生徒として、父兄として、教員として、向き合ってきた経験もあり、理不尽に直面した時こそ、この精神を大切にしたいと何度も思うようになった。
映画『教皇選挙 - CONCLAVE -』を見終えて一番強く残ったのは、「結局、本当にふさわしい人がその立場に選ばれる」——そんな清々しい読後感だ。都民の負託を受ける一人の身として、自分もまた期待を裏切ることなく、時にドラマチックで、誠実な仕事をしていきたいと静かに誓うのだった。
静かな映画から、静かに自分を見つめ直す——そんなひとときだった。

#教皇選挙 #CONCLAVE #映画感想 #政治と映画
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サカモト マサシ/55歳/男
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