白石 そう ブログ
下関市職員採用試験、チャレンジ枠に応募66人増の理由
2026/7/29
7月29日、令和8年度下関市職員採用試験(大学卒業程度 行政職・技術職、専門職)の第1次試験合格者が発表されました。人口減少・若者流出が続く下関市で、市役所という選択肢は今、若い世代にどう受け止められているのでしょうか。
数字で見る変化
下関市が公開している「試験実施状況」を確認すると、大学卒業程度の行政職を対象とした「しものせきチャレンジ枠」の申込者数は、令和7年度の163人から令和8年度は229人へと、66人増加していました。率にすると4割近い伸びです。
一方、通常の大学卒業程度試験(行政)も、第1次試験合格者数は前年度の40人から今年度は52人に増えています。ただしこちらは申込者数そのものがまだ公開されておらず、正確な倍率は9月頃の最終合格発表を待つ必要があります。今回、確かな事実として言えるのは「しものせきチャレンジ枠」の応募増加であり、それ以上を断定するのは避けたいと思います。
「受けやすさ」を積み重ねてきた試験改革
しものせきチャレンジ枠自体は、令和6年度に先行枠として始まった制度で、今年度に新設されたものではありません。ただし、令和7年度と令和8年度を比べると、細かな改善が重ねられていることがわかります。
まず、第1次試験で使う適性検査が、SCOA-Aから、就職活動で最も広く使われているSPI3に変更されました。対策本や模擬試験も豊富で、受験者にとって馴染みやすい形式です。さらに、従来は全国のテストセンター会場での受験に限られていましたが、令和8年度からは自宅等からのオンライン受験も選べるようになりました。加えて、過去1年以内にテストセンターで受験した実績があれば、その結果を流用して受験そのものを省略できる制度も新設。併願できる専門職の対象も、保健師まで広がっています。
「テストセンター方式の導入」という大きな枠組みは前年からすでにあったものですが、こうした一つひとつの細かい改善が積み重なったことが、応募のハードルをさらに下げた可能性があります。
なかでもSPI3への変更は、影響が大きかったかもしれません。SPI3は民間企業の就職活動で最も広く使われている適性検査で、対策本や模擬試験も豊富です。すでに民間就活のためにSPI対策をしていた学生であれば、公務員試験用に別途勉強し直さなくても、そのままチャレンジ枠を併願できたのではないか——そんな見方もできそうです。あくまで一つの仮説にすぎませんが、公務員志望に絞らない層まで間口が広がった一因かもしれません。
行政書士として感じること
私は行政書士として、日々さまざまな申請書類の作成に携わっています。そこで痛感するのは、「手続きのハードルをどれだけ下げられるか」が、実際に動く人の数を大きく左右するという事実です。制度がどれほど優れていても、申請までの道のりが遠ければ、多くの人はそこで諦めてしまいます。
今回のSPI3化やオンライン受験の追加も、同じ発想だと感じます。わざわざ下関まで足を運ばなくても受験できる、馴染みのある形式で臨める——こうした「受けやすさ」への地道な配慮が、66人という具体的な数字に表れたのではないでしょうか。もちろん、これは制度変更と時期が一致しているという状況証拠であり、市が明確にそう説明しているわけではないことは付け加えておきます。
これからの下関を担う人材のために
人口減少都市においては、若い世代がその街の行政に関わろうとするかどうかは、まちの将来を左右する重要な指標です。今回の「+66人」という数字は、受験のしやすさを整えることが、まだ関心を持ちきれていなかった層の背中を押す可能性を示しているように思います。
通常の大学卒業程度試験の倍率や、消防吏員試験の状況を含めた全体像は、9月の最終合格発表で明らかになります。そのときに改めて、下関市職員採用試験の全体の動向を検証してみたいと思います。制度改革が本当に人材確保につながっているのか、引き続き注目していきます。