2026/6/10
2026年6月7日、中野区長選挙と中野区議会議員補欠選挙が行われました。

中野区長選挙では、現職の酒井直人氏が46,057票を獲得し、3期目の当選を果たしました。今回の中野区長選挙では、子育て支援や物価高対策に加え、中野サンプラザ跡地を含む中野駅新北口駅前エリアの再整備も、大きな争点の一つとなりました。

中野区役所の前の公営掲示板で立ち止まって投票前に真剣に候補者のポスターを見る若い方もおられました。
選挙結果を受け、中野区は今後どのような方向へ進むのでしょうか。
今回は、中野区長選挙と中野区議会議員補欠選挙の結果を確認するとともに、長年にわたって議論されてきた中野サンプラザ再整備について、考えます。
中野区が公表した中野区長選挙の開票結果は、次のとおりです。
酒井直人氏 46,057票
吉田康一郎氏 30,891票
森川たけひろ氏 10,829票
石倉こうじろう氏 5,904票
あきいけ幹雄氏 682票
酒井直人氏が最多得票となり、3期目の当選を決めました。
中野区長選挙の投票者数は96,478人、投票率は35.05%でした。前回2022年の33.72%から、1.33ポイント上昇しています。
一方、5人の候補者の得票を合計すると94,363票です。
投票者数との差は2,115票で、投票者数の約2.2%に当たります。この数字には白票のほか、候補者を特定できない記載なども含まれるため、すべてを白票と考えることはできませんが、「どの候補者にも有効票として投じられなかった票」が一定数あったことも分かります。
同日に行われた中野区議会議員補欠選挙の開票結果は、次のとおりです。
大塚けいじゅ氏 36,675票
伊藤さゆり氏 35,936票
橋本正太郎氏 16,480票
国民民主党の大塚けいじゅ氏が当選しました。
1位と2位の差は739票で、非常に接近した選挙となりました。
区議会議員補欠選挙の投票者数は96,436人で、3候補の得票合計は89,091票でした。
差し引き7,345票、投票者数の約7.6%が、候補者の得票に含まれない票となっています。こちらも白票だけではなく、候補者を特定できない記載などの無効票を含む数字です。
区長選挙の2,115票、約2.2%と比べると、区議会議員補欠選挙では、候補者の得票に含まれない票が5,230票多く、割合も3倍以上になっています。
補欠選挙は、区長選挙と比べて候補者の情報が有権者に届きにくかった可能性もあります。ただし、この数字だけで有権者の意図を断定することはできません。
候補者を選びきれなかった人、補欠選挙に関心を持てなかった人、あえて氏名を書かなかった人など、さまざまな理由が考えられます。
今回の中野区長選挙では、現職の酒井区長が再選されました。
この結果から、中野区はこれまで進めてきた政策をすべて転換するのではなく、基本的には継続しながら進んでいくことになると考えられます。
ただし、酒井氏の得票は46,057票で、他の4候補の得票を合計すると48,306票です。
そのため、今回の結果を「現在の区政や、今後示される再整備計画のすべてが承認された」と解釈するのは慎重であるべきでしょう。
現在の区政を継続してほしいという声がある一方で、中野サンプラザ再整備の規模や費用、進め方、区民への説明について、見直しや慎重な対応を求める声もあったと考えられます。
選挙結果は、区政を進めるための一定の信任であると同時に、多様な意見を受け止める必要性を示した結果でもあります。
中野サンプラザの再整備は、今回の選挙で突然出てきた問題ではありません。
中野区では、2015年から2019年にかけて区民会議を13回開催し、意見交換会やパブリックコメントを経て、2020年1月に中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を策定しました。長い期間をかけて検討されてきた、中野区政の重要なテーマです。
中野サンプラザは2023年7月に閉館しました。その後、工事費の高騰などにより市街地再開発事業の実施が難しくなり、当初の計画は見直されることになりました。
2025年9月5日、中野区が100%出資する株式会社まちづくり中野21から、中野サンプラザの土地・建物が中野区へ寄附されました。再開発事業の見通しが立たず、同社が固定資産税や借入金利息などの負担を続けることが難しくなったため、区へ資産を移したものです。現在は中野区が普通財産として管理しています。
現在、中野駅周辺では、新しい建物の開業や駅施設、歩行者デッキなどの整備が進んでいます。
その中で、閉館した中野サンプラザが駅前に立ち続けている姿を見ると、「この場所を今後どうするのか」という方向性を、いつまでも曖昧なままにはできないと感じます。
もちろん、大規模な再整備を急いで決めればよいということではありません。
建設費がどの程度になるのか、区がどこまで負担やリスクを負うのか、文化施設やホールをどのような規模にするのか、完成後の維持管理をどうするのかなど、慎重に確認すべき点は数多くあります。
一方で、周囲のまちづくりが進む中、中野サンプラザだけが方向性の定まらない状態で残り続けることにも、費用や安全管理、まちの回遊性などの面で課題があります。
だからこそ、進めるか止めるかという二択ではなく、区として目指す方向を明確にし、その理由と費用、リスクを区民へ丁寧に示してほしいと思います。
中野サンプラザ再整備をめぐっては、大きく進めるべきだという意見もあれば、規模を縮小すべきだという意見、既存建物を活用すべきだという意見もあります。
どの立場にも、それぞれの理由があります。
中野駅前の一等地を再整備することで、にぎわいや文化発信、利便性の向上が期待できます。
その一方で、大規模な再開発には、建設費の高騰、事業期間の長期化、維持管理費、民間事業者の撤退などのリスクがあります。
重要なのは、選挙が終わったからすぐに結論を出すことでも、意見が分かれているから判断を先送りし続けることでもありません。
選択肢を具体的に示し、区民が比較できる材料を公表したうえで、区として責任を持って方向性を決めることが必要です。
中野サンプラザは、単なる古い建物ではありません。
音楽や成人式、結婚式、ホテル、レストランなど、多くの人の思い出が積み重なった場所です。
特徴的な外観や「中野サンプラザ」という名前だけでなく、誰でも立ち寄ることができ、文化を発信し、多様な人が集まる場所だったことも大切な価値です。
新しい施設を造るのであれば、そのDNAをどのように次の世代へ引き継ぐのかを考える必要があります。
中野区長選挙は終わりました。しかし、中野サンプラザ再整備の議論は、ここからが重要です。
周囲の開発が進む中で、中野サンプラザを今後どうするのか。区民に必要な情報を示し、意見を聞いたうえで、方向性を明確に決めていくことが求められます。
選挙で示されたさまざまな声を受け止めながら、中野の将来に責任を持った区政のかじ取りに期待したいと思います。
中野区長選挙の結果を受け、中野がどの方向へ進むのか。中野サンプラザ再整備を含め、今後も分かりやすくお伝えします。
中野区「中野区長選挙・中野区議会議員補欠選挙の開票結果」
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kusei/senkyo/news/260607kaihyou.html
中野区「中野区長選挙・中野区議会議員補欠選挙の投票結果」
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kusei/senkyo/news/260607touhyou.html
中野区「中野サンプラザ取得・運営等事業について」
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kusei/kousou/seido/toshikeikaku/nakanosunplaza.html
中野区「中野四丁目新北口駅前地区における市街地再開発事業の見直しについて」
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kusei/public/houdou/2025/press250311comment.html
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