2026/6/9
官邸で高市総理に対して原子力規制の抜本改革を提案してきた。
私が「原子力規制に関する特別委員長」として、提言の「あとがき」に込めたメッセージの概要を示す。

2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故は、わが国の原子力規制のあり方に抜本的な改革を迫った。2012年9月に設立された原子力規制委員会は、独立性、透明性、専門性などを理念として、厳格な規制基準の策定と審査を通じて、地に落ちた原子力規制に対する国内外の信頼回復に役割を果たしてきた努力に敬意を表したい。
ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢の不安定化に加え、生成AIの普及に伴うデータセンターや半導体工場の増加などにより、電力需要は中長期的に増加局面に入っている。脱炭素かつ安定電源である原子力の重要性は、国民生活、産業競争力、エネルギー安全保障の観点から一層高まっている。
原子力規制委員会および原子力規制庁も、設立当初の「信頼回復を最優先する行政組織」から、独立性と厳格な安全確保を大前提としつつ、限られた行政資源を有効活用する「効率的かつ実効的な行政機関」へと進化すべき時期を迎えている。
ここ数年、特定重大事故等対処施設に関する経過措置の見直しなど、制度改善が進められてきた。これらの取り組みを踏まえ、今後はオンラインメンテナンスの導入、定期検査制度の合理化、審査プロセスの効率化などを着実に進めるべきだ。
また、グレーデッドアプローチを徹底し、リスクに応じて行政資源を重点配分することで、メリハリの利いた審査・検査体制を構築すべきだ。これにより、原子力の安全性を厳格に維持しながら、設備利用率の向上につなげるべきだ。
新世代革新炉、高速炉、フュージョンエネルギーなど、新たな原子力技術の開発と実装は、今後のエネルギー政策において不可欠だ。原子力規制委員会および原子力規制庁には、こうした新技術に対応できる審査・規制体制を早期に整備することを求めたい。
また、人材基盤の強化は喫緊の課題だ。
発足以来導入されてきた、いわゆる「ノーリターンルール」は、原子力規制行政の独立性確保に一定の役割を果たしてきた。しかし、制度発足から十年以上が経過する中で、原子力規制庁における専門的人材の確保・育成は極めて厳しい状況に直面している。今後は、独立性を損なわないことを大前提としつつ、若手職員については、原子力に関係する他の行政機関や研究機関との人材交流を柔軟に認めるべきだ。
原子力規制委員会および原子力規制庁には、今後も原子力安全の確保に全力を尽くしつつ、限られた行政資源を有効に活用し、国民からの信頼を維持しながら、わが国のエネルギー安全保障を支える規制機関として進化することを期待する。

2011年3月11日、総理補佐官として原発事故に向き合うことになった。東電をはじめとした原発事業者の皆さん、各省の担当者と共に原発事故の収束にあたった。

2012年、東京電力福島第一原発事故を受けて行われた原子力規制の抜本改革においては、閣僚として法案を作成して国会で答弁した。あの事故を受けて、厳格な独立性と国民に対する透明性の確保は、原子力規制委員会発足の絶対条件だった。

原発事故対応の当事者として規制改革を担い、その後、自民党で原子力政策に携わってきた政治家は私以外にいない。事故後の規制改革を知り、その後の現場も見てきたからこそ提案できる改革がある。

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