2026/4/29
〇得票数同数によってくじ引きで当選者が決まった神栖市長選。この記事の
【県選管は「再々点検」で、実家が和菓子店の木内氏の有効票とされた「だんごさん」「まんじゅうや」の各1票について、「通称として使用されていると認めるに足りる証拠はない」として無効とした】
という文章をみると、ふつうは「まんじゅうや」が得票に認められるのはおかしいと思うだろうが、法律論上は結構微妙だ。
公職選挙法第67条では、「(投票の効力)の決定に当つては、第68条の規定に反しない限りにおいて、その投票した選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない」と原則を規定している。この第68条においては、無効投票となるものが列挙されているが、国政選挙以外の選挙を規定した第1項において「職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない」とされている。つまり、職業、身分、住所、敬称などを書いて、ある候補者への投票の意思が明確であれば有効票と判断されうるのだ。
私が最初の選挙に出た頃は、ある町の町議選は同姓の候補者が多いため、ある候補者は氏名より自分の家の屋号をポスターに大きく掲げていた。屋号で書いてもらった方が、同姓の候補者への按分票とならないからだ。
くじ引きで当選した木内敏之氏の家は、明治34年創業の県内で指折りの大きな和菓子屋さん。現社長が茨城県菓子工業組合の会合などで挨拶するときは「神栖のまんじゅうやです」といつも言っているので、もしかしたら神栖で「まんじゅうや」といえば木内ということなのかもしれない。
公職選挙法が「投票した選挙人の意思」を大原則として規定している以上、有効票となりうる「職業、身分、住所、敬称」はケースバイケースとなる。単なる論理上の問題ではなく、その地域の社会通念や実情に照らして判断しなければならないから、県の選挙管理委員会が杓子定規の用語の定義だけで判断することはできないだろう。木内氏側は高裁に提訴するとのことだが、司法の場でも判断はそう簡単ではないのではないか。
公職選挙法は細かすぎる割には、細かすぎるがゆえに、曖昧な規定や現実にそぐわない規定が多く、稀代の悪法であるとされている。最近は立花某氏のように公選法の穴を狙った悪質な行為や、本質とは関係のない重箱の隅を突っつくような指摘を得意になってする者もいる。一方、その法律を作る立法府は、自らがその法律に従って選挙で選ばれる立場なので、なかなか抜本的な改正を打ち出すことはできない。しかし、インターネットやAIなどの技術革新も進む中、もっとシンプルで明快なものに抜本改正すべき時がやってきたのではないか。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>福島 のぶゆき (フクシマ ノブユキ)>〇得票数同数によってくじ引きで当選者が決まった神栖市長選。